研究課題/領域番号 |
12640032
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
蔵野 和彦 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (90205188)
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研究分担者 |
川崎 健 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (40301410)
竹田 雄一郎 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30264584)
寺尾 宏明 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90119058)
鴨井 祐二 明治大学, 商学部, 専任講師 (80308064)
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キーワード | Roberts環 / リーマン・ロッホ / グロタンディェク群 |
研究概要 |
「与えられた局所環の完備化がRoberts環であるときに、もとの局所環もRoberts環か?」という問題が本研究の12年度の目的の一つであったが、これに関して次の二つの結果を得た。 最初に得た結果は、実はこの問題は「局所環の完備化から誘導される有理数係数の有限生成加群のグロタンディェク群の間の射が単射か?」という問題と同値であることである。またこれが正しければ、「局所環に対する特異リーマン・ロッホ公式は、base正則スキームの選び方にはよらない」ということが従うことがわかった。この後者の問題は、局所環が完備の場合・体または整数環上本質的に有限生成等の場合は正しいことがわかっているのであるが、本研究の中で新しい十分条件がわかった。 よって、「完備化から誘導される有理数係数の有限生成加群のグロタンディェク群の間の射が単射か?」という問題を考えればよいわけである。これに関しては、次の三条件のどれかが成立すれば、このことは正しいということが証明できた。(1)与えられた局所環がヘンゼル環である場合。(2)与えられた局所環が体上の斉次環の斉次極大イデアルでの局所化である場合。(3)局所環が孤立特異点である場合。(上の(1)の場合は、素イデアルは完備化しても素イデアルのままである。また、(2)の場合もグロタンディェク群の生成元である斉次素イデアルは、完備化しても素イデアルのままである。このようなケースではグロタンディェク群の間の射が単射という結果はそう驚くべきことではないと思う。しかし、孤立特異点の場合は完備化により素イデアルはいくらでも分解するわけで、よって(3)の場合にこれが正しいというのは、非常に不思議な現象である。)
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