Diophantine近似という言葉で表される内容には、主に超越数を代数的数で近似するものと、無理数を有理数で近似する方法とがある。ここでは、楕円曲線の代数点のペエ関数についての逆像の点の、代数的係数の1次結合の絶対値に対する下からの評価という近似について、係数の高さについての最良評価をフランスのS.Davidと共同で得たことについて、報告する。 これは少なくとも1977年のM.Andersonの論文、に載っている一つの問題に対する答えとなるが、実際にはもっと前から、通常の対数一次形式と同じ評価を得るという問題として考えられていたようである。 研究代表者は1991年にこの最良評価の少し手前のものまで到達していた(これはアーベル多様体など、可換代数群上でOK)。これはちょうどヘルシンキのICMコングレスで提出されていたG.Chudnovskyの予想を解決するものになったが、今回の話は楕円曲線の場合にその改良に至ったということ、即ち楕円曲線の有理点の1次結合については、係数の高さに関しての初めての最良評価を得たという報告である。 これは、定数を計算しておけば、たとえば楕円曲線の整数点の計算などにも応用される。
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