研究概要 |
まず楕円曲線の対数一次形式,すなわち有理点の楕円積分にあたる楕円対数の代数的係数一次結合の絶対値に対する下からの評価というディオファントス近似について,係数の高さについての最良評価をフランスのS. Davidと共同で得た.これは少なくとも1977年のM. Andersonの論文に載っている一つの問題に対する答えとなるが,実際にはもっと前から,通常の対数一次形式と同じ評価を得るという問題として考えられていたようである.これは,定数を計算しておけば,たとえば楕円曲線の整数点の計算などにも応用される.ペエ関数による楕円曲線上の有理点の記述を楕円曲線上のフォーマルグループによるものに直し,楕円対数関数を直接証明に使うという方法で示した.いわば,E関数のかわりにG関数を考えるという,変換を施したわけである. 次にWirsingのディオファントス連立不等式という不定不等式の解の個数についての考察をしている.代数曲線における整数点の結果は種数で整数解の有限性と無限性が分かれているが,Wirsingの連立不等式では連立不等式の指数部分,つまり代数曲線における種数に相当する部分が同じとなる2つの不等式で,解が有限個の場合と無限個の場合の両方が存在することを、オランダのJ-H. Evertseと共同で証明した.
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