研究概要 |
ファノ多様体の反標準因子の豊富性条件を緩めた,反標準因子がnef&bigな非特異射影多様体(弱ファノ多様体)を分類しつつその構造を決定することが本研究の目的であった.本年度の研究実施計画に記載したとおり,過去数年にわたり研究対象としてきた3次元弱ファノ多様体の分類結果を整理するために名古屋大学多元数理研究科,京都大学数理解析研究所などの研究者と度々討論を行ってきた.この分類結果については,現在,論文を執筆中である. 射影空間束の二重被覆となっている3次元弱ファノ多様体については,上記の研究により既に分類結果が得られているが,このような3次元弱ファノ多様体を重み付き射影空間束内の因子とみなすことにより同じ分類結果を得た.この分類結果は,報告者の所属学部のワーキングペーパーシリーズ(Economics and Information Studies)に「Weak Fano threefolds with del Pezzo fibration of degree two」と題して2001年3月に発表した.この研究により,研究課題である高次元弱ファノ多様体の分類の足掛かりができた. 現在は,重み付き射影空間束内の因子として現れる4次元弱ファノ多様体のうち,上記の3次元弱ファノ多様体に極めて近い場合について考察を重ねている.いくつかの4次元弱ファノ多様体の例は構成できているが,分類論の立場からのまとまった結果は未だ得られていない.
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