研究課題/領域番号 |
12640051
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
山岸 規久道 姫路獨協大学, 経済情報学部・経営情報学科, 教授 (10200601)
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研究分担者 |
川崎 健 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40301410)
西田 康二 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (60228187)
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キーワード | USD列 / Rees環 / 拡大Rees環 / 随伴次数付き環 / Buchsbaum環 / I-invariant / 極小重複度 / 1次元 |
研究概要 |
今年度は本共同研究の最終の年度であり、これまでの三年間の研究成果を踏まえて、下記の三つの研究テーマについて基礎的な成果を納めることを目標とした。すなわち、(i)Rees環のBuchsbaum性に関する一般論を構築すること、特に、reduction数が高々1とか等Buchsbaum不変量であるとかの制約条件を緩和し議論をより簡素化し一般化すること;(ii)拡大Rees環の(広義の意味での)Buchsbaum性に関してこれまでに得た研究成果を更に発展させること;そして、(iii)USD列の基礎理論を整備すること、特に、P-standard列との関係をより深く解明すること、である。 まず、Rees環のBuchsbaum性に関する一般論の構築については、幸いにして、1次元の場合にRees環がBuchsbaum性を持つための必要十分条件を完全に解明することが出来た。この1次元の場合の研究成果は掛かる一般論を構築する際に一つの指針を与えるものと強く期待するが、一方で1次元という特殊性に由来する成果ではないかとの疑念も禁じ得ない。いずれにしても、一般論の構築についてはいまだその展望が開かれてはおらず更なる解明が急務である。 次に、拡大Rees環の(広義の意味での)Buchsbaum性に関する研究を更に進めた結果、その副産物として、随伴次数付き環を拡張した環(拡大Rees環の-n次の不定元による剰余環)がBuchsbaum性を持つための条件を等Buchsbaum不変量の場合に解明することができた。現在、これらの研究成果をまとめた論文を投稿準備中である。 そして、USD列の基礎理論の構築については、P-standard列との関係の解明などでまだ十分とは言えず、重要な研究課題が多く残されている。USD列は局所cohomology加群の解析に不可欠な研究手段を提供している点で、他の列性質にはない特異な使命を持つ列性質と確信している。USD列の利点とも言うべき特殊性として、環や加群に何らNoether性などの有限性は仮定されてはいない点があるが、ただ、他の列性質例えばP-standard列などとの関係の解明を進めるためにはこの特殊性をどこまで議論に生かすかが課題として残る。 最後に、研究分担者の川崎健氏(東京都立大学大学院・助手)は、Cousin cohomology加群の有限生成性に関する深い結果を得た。そして、氏の構築したArithmetic Macaulay化の手法をより一般化することに成功した。氏はこれらの研究成果を論文にまとめ、現在投稿中である。
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