研究課題/領域番号 |
12640051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
山岸 規久道 姫路獨協大学, 経済情報学部・経営情報学科, 教授 (10200601)
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研究分担者 |
川崎 健 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40301410)
西田 康二 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (60228187)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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キーワード | USD列 / Rees環 / 随伴次数付き環 / Buchsbaum環 / Equi-I-invariant case / 極小重複度 / 特異点改良問題 / 算術的Macaulay化 |
研究概要 |
本研究課題により得た新たな知見について、その主要部分を概観する。 (1):USD列が「後藤の分解律」を満たすことを示し、更に、ある列が後藤の分解律を満たすこととその列がd^*-列であることとは等価であることを示した。この関係を巧みに利用することで、USD列に要求される非常に"強い"条件、すなわちその列のべき乗が「すべての」自然数について無条件d列でなければならないことが、実は「2乗までで十分」であることを明らかにした。この研究成果は、USD列であるか否かの判定を無限の基準から有限のものへと飛躍的に改善したものであり、USD列の基礎理論を強固にするものである。 (2):Rees環の研究において、これまではRees環自身が主な研究対象であったのを加群へと対象を広げることとし、Rees加群のBuchsbaum理論の構築を試みた。これに備えるため、環に対して定義されていた"(極大準素)idealがminimal multiplicityを持つ"という概念を加群へと拡張した。その際、S.Abhyankar氏の確立した重複度に関する古典的な不等式を環の場合からBuchsbaum加群の場合へと拡張したことが重要な役割を果たした。この後、minimal multiplicityを持ちequi-I-invariantである場合に、2次元以上のBuchsbaum加群から構成されるRees加群はまたそれ自身Buchsbaum性を持つことを解明した。また、Rees加群がBuchsbaum性を持つか否かの一般論については、基礎加群が1次元の場合に限り、その必要十分条件を完全に解明できた。 (3):Reduction数が高々1のminimal multiplicityを持つ極大準素idealを考察の対象とし、このidealの定めるfiber coneで特にBuchsbaum加群上のものがBuchsbaum性を持つための十分条件を、Rees加群の局所cohomology加群の各斉次成分の出現状況との関連で特徴付けることに成功した。 (4):極大準素idealのべき乗のなす随伴次数付き加群のI-invariantはそのべき指数と伴に漸近的に減少することを解明し、極限値はそのidealのなすRees加群の局所cohomolgy加群の0次の斉次成分で完全に決定されることが判明した。 (5):拡大Rees加群をRees環上の加群とみると、それは有限生成加群ではないのにも関わらず、広い意味でのBuchsbaum性を有することが判明した。副産物として、随伴次数付き加群を拡張した加群(拡大Rees加群の-n次の不定元による剰余加群)がBuchsbaum性を持つための条件を等Buchsbaum不変量の場合に解明することができた。現在、これらの研究成果をまとめた論文を投稿準備中である。
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