研究課題/領域番号 |
12640061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 謙一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20242810)
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研究分担者 |
細野 忍 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (60212198)
金銅 誠之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50186847)
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キーワード | 解析的トーション / Quillen計量 / モジュライ空間 / 保型形式 / Borcherds積 / K3曲面 |
研究概要 |
(1)1998年に、筆者は反シンプレクティク対合を持つK3曲面の不変量を導入した。その構成は、対合で不変なRicci-平坦Kaehler計量をK3曲面上に用意し、それを用いて同変解析的トーションと対合の固定曲線の解析的トーションを定義し、両者の積を取るというものであった。この2年間の研究により、上の不変量をRicci-平坦計量の存在(Yauの定理)を仮定せずに行うことができるようになった。実際、以前の定義に適当なBott-Chern項を加えることにより、同じ不変量を得ることができる。こうして得られる不変量はモジュライ空間上の保型形式で表示される。この改善が得られるまでは、保型性の証明に際してRicci-平坦計量の退化挙動の研究が不可避で、これが証明を分りにくくしていた.計量からの独立性は、不変量の退化挙動の研究をBott-Chern類のそれへと還元した。Bott-Chern類の退化挙動はKaehler-Einstein計量の退化挙動にくらべるとずっと具体的な対象であり、比較的容易に実行できる。 (2)種数1と2の曲線の解析的トーションはSiegel保型形式で表示されることが知られていた。川口周氏(京大)との共同研究により、この現象を種数3の曲線に対しても拡張した。正確には、解析的トーションそのものというより、種数3曲線のQuillenの計量がSiegel保型形式を用いて記述できることが示された。非超楕円的な種数3曲線は必ずKummerの4次曲面の超平面切断として表されるという事実が鍵になる。 このような種数3曲線の実現は一意的ではなく、曲線の非分岐2重被覆の取り方だけ存在する。
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