本年度の研究では、クライン群の変形空間の研究において、鍵となる、関数群の変形空間について、Thurstonにより予想された、次の問題をソウル大学のlnkang Kimの協力のもと、完全に解決した。Masur domainに属する射影的層状構造に向けて発散していく無限遠構造にAhlfors-Bers写像で対応する幾何的有限関数群の擬等角変形は必ず代数的に収束する部分列を持つだろう。前年度はSchottky群についてのみこの問題を肯定的に解くことが出来た。これを一般の関数群に拡張するためには、極限におけるR-樹への群作用に対して、無限遠等角構造の極限となるMasur domain内の射影的層状構造を含む層状構造の各連結成分は必ずR-樹で実現されるか1点につぶれるかであることを証明する必要があった。(Schottky群についてはKleineidam-Soutoによりこれは正しいことが分かっている。)この懸案であった部分を本年度解決することが出来た。
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