研究課題/領域番号 |
12640067
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
吉村 善一 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70047330)
|
研究分担者 |
下村 克己 高知大学, 理学部, 助教授 (30206247)
南 範彦 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80166090)
|
キーワード | 実K理論 / 複素K理論 / K局所化理論 / KOホモロジー理論 / CW複体 / CWスペクトラム / 共役作用素 / CRT圏 |
研究概要 |
代数的位相幾何学においては、CW複体や多様体を安定ホモトピー同値によって分類することが最も重要な問題の一つとして挙げられるが、そのためにはまずK理論による局所化同値によって分類を試みることが極めて有効である。研究代表者は、CW複体の実K群を単にアーベル群の圏内で計算するのではなく幾何学的な構造を含めて計算するために、疑似KOホモロジー同値という概念を1990年に導入した。それ以来、CW複体や多様体をまず最初に疑似KOホモロジー同値で粗く分類し、しかる後にK理論の局所化同値でより細密に分類するという手法を構築して現在まで一貫した研究を進めてきた。 研究代表者は既に位相幾何学上重要な幾つかの多様体(又はCW複体)対してそれらのKU群に作用する共役作用素の振る舞いを考察して、疑似KOホモロジー同値型を決定している。更に、KU群が自由群であるとか自由群と一つの2捩れ巡回群の直和であるなど、KU群が比較的簡単な形をしているCW複体(又はCWスペクトラム)を疑似KOホモロジー同値型によって分類することを既に成し遂げている。この研究を継続発展させた結果、KU群が二つの2捩れ巡回群の直和であるCW複体(又はCWスペクトラム)を疑似KOホモロジー同値型によって分類することに成功したことが平成12年度の新しい研究成果である。 KU群が二つの2捩れ巡回群の直和であって1次元KU群が0であるという制限を加えた場合は既に1996年に研究代表者が開発した従来の手法によって中井洋史君(大阪市大)との共同研究で分類を成し遂げている。しかし、0次元および1次元KU群が2捩れ巡回群である場合は分類を試みる際にある種の障害が生じるので、それを克服するためにBousfield(1990)によって導入されたCRT圏を利用する。そのため、従来の方法がCW複体の細胞構造を用い幾何学的であったのに比べると、新しい方法は長完全列を用いてKO群を計算するので極めて代数的である。
|