研究概要 |
高次元ゲージ理論のインスタントン解と超対称サイクルの幾何学に関する研究を行った.特殊ホロノミー群をもつリーマン多様体の具体例として4次元A_1型ALE空間の自然な高次元化と考えられる8次元多様体を扱った.この多様体はSpin(7)ホロノミーをもつがその上で8元数的インスタントン方程式の球対称解の構成を行った.しかし,一般論から期待される超対称サイクルとの関係については,新しい結果は得られず,今後の課題として残った. また,関連する話題として,局所ミラー対称性を用いて5次元超対称ゲージ理論の研究を行った.特に,Hirzebruch曲面F_2およびそれをblow upして得られる代数曲面に対して局所ミラー対称性を適用して得られる楕円曲線の族を考えるとS^1上にコンパクト化した5次元理論のプレポテンシャルが導かれることを示した.この結果により,超対称ゲージ理論のプレポテンシャルのインスタントン展開に関する新しい見方が得られた.5次元超対称ゲージ理論は,有理楕円曲面の幾何学や楕円型単純特異点の理論と深い関係があることが期待される. 研究分担者の梅原は,極小曲面に関する研究を行った.また,大阪大学の後藤竜司氏を講師として招き,特殊ホロノミー群を持つ多様体のミラー対称性に関するセミナーを開いた.安井はSpin(7)ホロノミーをもつ多様体の幾何学の研究を進めている.また斎藤は楕円型リー代数の表原論の研究を行っているが,これは楕円有理曲面の幾何学と深い関係があるものと期待している.
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