研究概要 |
本年度は、対称空間に対応するリー環について、それに付随する一般化されたAKNS方程式系とハミルトン構造の構成について研究を進めた。その過程で、Macintosh、WilsonやDrinfeld-Sokolovなどの方法の再検討をした。彼らの方法は、単純リー環を対象としており、対称空間とは直接は結びつかないようである。リー環を分割して発展方程式の生成元を得る方法について微妙な違いがある。 リー環がsl(n,C)などの具体的ないくつかの場合には役に立つ知見を得たけれど、いまだ発表できる段階には至っていない。今後も研究を進めたい。 なお、次の結果をHokkaido Mathematical Journalに発表した:曲面上で2点A,Bをとり、適当な曲線で結ぶ。さらに1点Pをとり、AとP、BとPを測地線で結ぶ。3角形ABPが意味があるものとして、その面積をSとする。このとき、曲率が定数であれば、Sは点Pの関数として調和である。また点Pにおける角APBも調和であることを示すことが出来る。 曲率が一定である曲面は、局所的には、球面か曲率負の定曲面だから、それぞれの場合に直接示せばよいわけだが、上記の結果はそうした方法ではなく、一般の場合にも面積のラプラシアンをきちんと計算でき、その結果曲率が一定であれば0になるというものである。
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