研究概要 |
平成12年度、13年度の2年間にわたり当科学研究費を使って、リー環とそれに付随する一般化されたAKNS方程式系とハミルトン構造の構成について研究を進めた。その結果sl(n, C)などを含む重要なリー環やある種の対称空間に対応したリー環について、それらに関係した発展方程式系及びハミルトン構造の構成について重要な知見を得た。一方で、τ-関数や対称空間の幾何学との関係などについてはまだ分からないことが多く、今後も研究を進めたい。特に対称空間上の曲率との関係は今の所はっきりとしない。そうした問題を解明した上で成果を発表することを考えたい。 なお研究の副産物として得られた次の結果をHokkaido Mathematical Journalに発表した:曲面上で2点A, Bをとり、適当な曲線で結ぶ。さらに1点Pをとり、AとP、BとPを測地線で結ぶ。3角形ABPに意味があるものとして、その面積をSとする。このとき、曲率が定数であれば、Sは点Pの関数として調和である。また点Pにおける角APBも調和であることを示すことが出来る。 曲率が一定である曲面は、局所的には、球面か曲率負の定曲面だから、それぞれの場合に直接示せばよいわけだが、上記の結果はそうした方法ではなく、一般の場合にも面積のラプラシアンをきちんと計算でき、その結果曲率が一定であれば0になるというものである。
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