研究概要 |
P^2内の強実曲線(定義式の係数がすべて実数であり,特異点の座標もすべて実数)Cに対して,補集合P^2\Cの基本群π_1(P^2\C)を計算する方法を開発した.これを応用して,四つのconicからなる曲線Cに対してπ_1(P^2\C)を計算し,Zariski pairの一例を得た. Gを二面体群または対称群とするとき,射影空間P^n上のversal G-被覆を構成した.(GがD_<2γ>(γは奇数),S_4,S_m(m【greater than or equal】5)のとき,射影空間の次元nはそれぞれ1,2,m-1である.)ここで,ω:X→P^nがversal G-被覆とは任意の代数多様体のG-被覆π:Y→Zに対して次の三つの条件を満たす有理写像ν,μが存在することである. (i)μはG-同変写像である.(即ち,Gの任意の元gに対してμog=goμ.) (ii)νの像はωの分岐点集合に含まれない. (iii)νoπ=ωoμが成り立つ. これをGが二面体群の場合に応用して次の定理を得た. 定理γを奇数とする.P^2内の既約曲線C=(f)でのみ分岐するD_<2γ>-被覆が存在すれば,fh^2=g^2_1-g^γ_2を満たす斉次多項式g_1,g_2,hが存在する.逆に,fh^2=g^2_1-g^γ_2を満たす斉次多項式f,g_1,g_2,hが存在し,(g_1)と(g_2)が横断的に交わる点があれば,(f)でのみ分岐するD_<2γ>-被覆が存在する. この定理を応用して,四つの(2,5)カスプを持つ既約六次曲線でのみ分岐するP^2のD_<10>-被覆の例を構成した.
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