研究概要 |
1.射影平面のガロア被覆で普遍被覆空間が多重円盤となるものについて φ:W→P^2をconic C_0とその接線L_1,...,L_sで分岐するガロア被覆でWが非特異であり、C_0,L_1,...,L_sに沿っての分岐次数はそれぞれ2,γ_1,...,γ_sであるものとする。このとき、r^<-1>_1+・・・+γ^<-1>_s<1ならば、Wの普遍被覆空間は多重円盤である。λ:Z→P^2を高々2C_0+γ_1L_1+・・・+γ_sL_sで分岐する有限被覆、Xをファイバー積W×_<p2>Zの既約成分の正規化、ψ:X→Zを射影とすれぱ、Xは非特異で普遍被覆空間は多重円盤となる。さらにZからP^2への双有理正則写像υ:Z→P^2が存在すると仮定し、μ:X→Y,π:γ→P^2をυοψのStein factorizationとする。 定理πはガロア被覆であり、μは最小特異点解消である。 逆に、射影平面のガロア被覆π:Y→P^2でYの特異点解消の普遍被覆空間が多重円盤となるもののうち、ある条件を満たすものは上記のようにして得られることがわかった。また、このようにして得られるガロア被覆の一意化を与える微分方程式系が構成できることがわかった。 2.射影空間からそれ自身へのガロア被覆の同型類 d, nを2以上の整数とし、kを(n+1)/2以下の自然数とする。 ω_i : P^1∋[z_0:z_1]→[u_i(z_0,z_1):v_i(z_0,z_1)]∈P^1(i=1,2,...,k)を次数dのガロア被覆とする。(μ_1)∩(v_1)∩・・・∩(v_k)∩(z^d_<2k>)∩・・・∩(z^d_n)={0}であるから、ω([Z_0:Z_1:・・・:Z_n])=[u_1(z_0,z_1):v_1(z_0,z_1):・・・:u_k(z_<2k-2>, z_<2k-1>):v_k(z_<2k-2>, z_<2k-1>):z^d_<2k>:・・・:z^d_n]によりP^nからそれ自身への正則写像ω:P^n→P^nを定義できる。 定理1.(前年度の結果)ωはガロア被覆である。 定理2. P^nからそれ自身へのガロア被覆π:P^n→P^nはすべて上記のようにして得られるものと同値である。
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