研究概要 |
写像の定義域および値域となる双曲3次元多様体を固定せずに幾何的剛性定理を考えた.実際,f_n:M_n→N_n(n∈N)を双曲3次元閉多様体間のdeg(f_n)=1の写像とするとき,次の等式 lim_<n→∞> Vol(M_n)=lim_<n→∞> Vol(N_n)<∞ が成り立つならば,有限個のn∈Nをのぞいた他のすべてのf_nは等長写像にホモトピックであることが証明できた.この結果の応用として,任意のV>0に対して,ある定数c(V)>0が定まり,次をみたすことがわかった. 「双曲3次元閉多様体間のdeg(f)=1の写像f:M→Nで,Vol(M)<Vをみたすものを考える.このとき,fが等長写像にホモトピックであるための必要十分条件はVol(N)【greater than or equal】(1-c(V))Vol(M)でる.」 この剛性定理の証明方法は,有界コホモロジーを使った無限体積の双曲3次元多様体に関する剛性定理の証明ために開発された方法(研究代表者による)を精密化したものである.さらに,本研究の一環として,双曲3次元多様体群の間の全射準同型の列について研究した. G_0→^^<φ_1>G_1→^^<φ_2>G_2→^^<φ_3>…→^^<φ_n>G_n→^^<φ_<n+1>>… を,各群G_iが双曲3次元多様体(体積無限でもよい)の基本群で,各φ_jが全射準同型であるような無限列とする.このとき,G_0が有限生成群であったならば,有限個をのぞいて,他のすべてのφ_jは同型写像であることが証明できた.各群G_iの特性代数多様体X(G_i)を考えると,全射φ_jが単射正則写像φ^*_j:X(G_j)→X(G_<j-1>)を誘導する.この事実が、この証明のキーポイントである.
|