研究概要 |
空間内に埋め込まれた結び目,絡み輪,グラフの幾何学的性質,代数的不変量の研究を行い,さらに計算機を利用した研究支援環境の整備を行った. 1.高次元リボン結び目の代数的不変量の研究を行った. 高次元リボン結び目のある条件のもとでの2次元ホモトピー群の群表示を決定した.一般の場合には,2次元複体に関するホワイトヘッド予想の特殊な場合である「リボン球体予想」と,この群表示の可能性とが同値であることを示した.このことより,この代数的不変量に関する問題が,幾何学的性質に関する問題に完全に帰着することができた.種々の具体例あるいは他の研究との関連などから,この「リボン球体予想」に関しては肯定的に成り立つであろうと期待されるが,一般的解答には至っていない. 2.結び目群の群構造についての研究を行った. オートマテック群の観点からの結び目群の研究を行い,結び目群でのオートマティック構造が幾何学的にどのような性質を反映するかについて考察を行った.さらなる研究の継続中であり,計算機との関連から今後興味ある結果が得られるものと期待できる. 3.情報ネットワークを通じての研究支援のための計算機環境の整備を行った. Webサーバ,メーリングリストサーバの稼働により,低次元トポロジー研究関係の情報公を行うことができ,さらに研究者間での研究連絡・情報交換等のためのメーリングリストの構築により,約100名の研究者に利用されている.これらサーバー類の安定的な稼働はほぼ問題なく,今後はセキュリティ面での堅牢性維持が課題となる.
|