経時測定データの解析に関連したランダム効果モデルに関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12640106
• 研究機関: 東京学芸大学
• 研究代表者: 横山 隆久 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20240864)
• 研究分担者: 藤越 康祝 広島大学, 理学研究科, 教授 (40033849) ; 中村 忠 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (20069074) ; 高田 佳和 熊本大学, 工学部, 教授 (70114098)
• キーワード: 経時測定 / ランダム効果 / 共分散構造 / 成長曲線モデル

研究概要

本年度の研究目的は、多変量の経時測定データへの応用をもつ共変量を伴う多変量ランダム効果成長曲線モデルにおいて、より一般的な多変量ランダム効果共分散構造の族の適合性に関する検定問題、また、この族の1つの共分散構造のもとでの平均および分散パラメータに関する推定問題を調べることであった。このモデルの平均構造の中に含まれる未知パラメータ行列の一部分である最初の任意個の列ベクトルに、部分的に個体変動を考慮することによって得られるより一般的な多変量ランダム効果共分散構造の族の適合性の検定問題、また、この共分散構造のもとでの平均パラメータの最尤推定量の精度に関する有効性について、いくつかの有用な結果が得られた(Kumamoto J.Math.13(2000),Hiroshima Math.J.30(2000))。この検定問題に対する修正尤度比統計量とその仮説の下での分布の漸近展開を導出した。1変量の場合の正確な尤度比統計量は複雑ではあるが、ある種の条件付最小値問題の解を用いて表わすことができる。しかし、多変量の場合の正確な尤度比統計量は極めて複雑になるためこの修正尤度比統計量が実用的である。この簡便統計量の分布の漸近展開近似の誤差評価や遂次解析的な側面の評価については研究分担者藤越、高田によって基礎的な結果が得られた。さらに、各時点で欠測値をもつような不完全データの場合の解析に関連する結果についても研究分担者中村によって得られている。

研究成果

• [文献書誌] T.Yokoyama: "Analysis of multivariate growth curves with covariates"Kumamoto Journal of Mathematics. 13. 75-81 (2000)
• [文献書誌] T.Yokoyama: "A multivariate growth curve model with differing numbers of random effects"Hiroshima Mathematical Journal. 30・3. 525-536 (2000)
• [文献書誌] T.Yokoyama: "Non-null distributions of the Wald's criteria in random effects growth curve models"Journal of Mathematical and Management Sciences. (to appear).
• [文献書誌] Y.Takada: "Median unbiasedness and Pitman's measure of closeness in a prediction problem"Kumamoto Journal of Mathematics. 13. 67-74 (2000)
• [文献書誌] Y.Takada: "Second-order properties of a two-stage procedures for comparing several treatments with a control"Journal of the Japan Statistical Society. 30・1. 27-41 (2000)
• [文献書誌] T.Nakamura: "An initial estimator of scale parameter based on binary response data"Bulletin of Faculty of Education Okayama University. 110. 141-149 (2000)
• [文献書誌] Y.Fujikoshi: "Error bound for asymptotic approximations of the distribution when the sample size and the dimension are large"Journal of Multivariate Analysis. 73. 1-17 (2000)
• [文献書誌] Y.Fujikoshi: "Transformations with improved chi-squared approximations"Journal of Multivariate Analysis. 73. 249-263 (2000)