研究概要 |
木研究の第一の目的は、共変量を伴う多変量ランダム効果成長曲線モデルにおいて、より一般的な多変量ランダム効果共分散構造の族の適合性に関する検定問題、並びに、この族の1つの共分散構造のもとでの平均および分散パテメータに関する推定間題を調べることであった。このモデルにおいて、より一般的な多変量ランダム効果共分散構造の族の適合性の検定間題に対して、修正尤度比統計量とその仮説の下での分布の漸近展開を導出した。正確な尤度比統計量は極めて複雑になるためこの修正尤度比統計量が実用的である。また、この共分散構造の下での平均パラメータの最尤推定量の精度に関する有効性を示した(Kumamoto J. Math. 13(2000),Hiroshima Math. J,30(2000))。第二の目的は、平行プロフィールをもつランダム効果成長曲線モデルにおいて、平均パラメータに関する検定問題を調べることであった。まず、1変量の平行プロフィールをもつランダム効果成長曲線モデルにおいて、平均パラメータのプロフィール分析に関する2つの仮説に対するWaldの基準の局所対立仮説の下での漸近分布を求めた。次に、多変量の平行プロフィールをもつランダム効果成長曲線モデルにおいて、多変量へ拡張した上述の2つの仮説に対する修正Wald型統計量の対立仮説の下での分布の漸近展開を求めた。多変量の場合の正確なWald型統計量は極めて複雑になるためこの修正Wald型統計量が実用的である。また、平行な多項式成長曲線をもつランダム効果モデルにおいて、ランダム効果共分散構造の下での平均パラメータの最尤推定量の精度に関する有効性を示した(Amer. J. Math. Management Sci.20(2000), Hiroshima Math. J. 31(2001))。これらの簡便統計量に関して、分布の漸近展開近似の誤差評価、遂次解析的な側面の評価、不完全データの場合の解析については、それぞれ、研究分担者藤越、高田、中村によって基礎的な結果が得られた。
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