研究概要 |
Fourierスペクトルが有界であるようなLebesugue-2乗可積分関数族が,再生核Hilbert空間としての構造を有するのと同様に,ある種のwaveletスペクトルの大域幅が有界領域に含まれるLebesgue-2乗可積分関数族が再生核Hilbert空間としての構造を有するという結果を用いて,wavelet解折における標本化定理を構成する.また,Fourierスペクトル解析における時間と周波数に関する不確定性原理のwavelet解析版についても検討する. wavelet変換を与える積分核作用素は,Lebesgue-2乗可積分関数族上のコンパクト作用素となるため,コンパクト作用素族に対するε-エントロピー理論を適用することが可能である.このことは,ε-エントロピー理論に基づく分類法が.wavelet変換族もしくは対応するwavelet積分核族に対する情報理論的分類を可能することを意味している.更にある種のwavelet変換族から構成される作用素環に対する作用素環論的分類法についても検討する. Fourier変換と同様に,wavelet変換においても逆変換公式を適用する際,入力データとして必要とするwaveletスペクトルの台を有界閉区間に限定しなければならない.従って,ここに入力スペクトル区間の打ち切りという操作に伴う再生信号の誤羞評価を検討することが問題として生ずる.ここでは,打ち切り区間幅を逐次拡張することにより得られる再生信号列の平均収束状況や概収束状況について調査する. 上記研究成果に基づき.離散wavelet変換の数学的定式化を行い,有界なwaveletスペクトルを持つLebesgue-2乗可積分関数族から構成される再生核Hilbert空間を張る正規直交基底を構成する.一方,高速Fourier変換プログラムは,統計学における因子分析プログラムに端を発するが,このプログラム原理は極めて不変性を有するものであり,これらの結果は高速wavelet変換プログラム作製にも応用され得るものである.
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