研究課題/領域番号 |
12640109
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
明石 重男 新潟大学, 理学部, 教授 (30202518)
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研究分担者 |
鈴木 智成 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (00303173)
羽鳥 理 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70156363)
磯貝 栄一 新潟大学, 理学部, 教授 (40108014)
大矢 雅則 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90112896)
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キーワード | Waveletスペクトル / ε-エントロピー / 重ね合わせ表現 / Hilbertの第13問題 |
研究概要 |
1900年に国際数学者会議で、D.Hilbertが行った総合講演の中で「今後の数学の発展を方向付ける23の問題」として発表したもののうち、第13問題、即ち「他変数連続関数をより少ない個数の連続関数の重ねあわせで表現できるか」という問題は、約50年後にKolmogorovとArnoldにより解決されたが、上記問題に付随する「連続性」という条件を「解析性」に置き換えた場合や「無限回連続微分可能性」に置き換えた場合は、依然として未解決であることが知られていた。平成13年度は、多次元Wavelet解析的手法を応用することにより、「Hilbertの第13問題の解析関数版」を解決することに成功した。 以下では、特に3変数解析関数空間と2変数解析関数空間に限定して実績報告を行う。双方の空間とも、通常のsup-rormを導入することによりBanach空間となることが知られているが、両空間の変数の個数の相違を、双方の位相構造に反映することが可能であるような特性量を、イプシロンエントロピーを用いて作製した。さらに、2変数解析関数の重ね合わせ表現により新しく構成される3変数解析関数の部分空間が、全体空間の中で位相空間論的にどのように特徴付けられるかをBaireのカテゴリー定理に基づいて調べ、「重ね合わせ表現で記述できる3変数関数はごく限られたものである」という結果を得た。 なお、この問題は、計算機科学の分野では、「計算図表問題」として知られ、上記問題が肯定的に解決されるならば、即ち「重ね合わせ表現可能」であることが示されるならば、新たなるデータ圧縮の原理を形成することになったのであるが、この結果は、「計算図表問題」に対するある意味での実用不可能性示したともいえる。上記一連の結果を得るに際して、Waveletスペクトル解析の手法を導入した。
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