対称関数と確率変数列に対してをdegree mのU-統計量と呼び、核関数をいろいろ与えることによって、フォン・ミーゼスの統計量を始め各種の重要な統計量を作ることが出来る.研究代表者は既に定常な確率変数列のU-統計量から構成された確率過程とブラウン運動から構成された確率過程との誤差の大きさを評価して概収束型不変原理(almost sure invariance principle)を示している.この結果からU-統計量に対して、未知パラメータの推定や検定問題の基礎となるドンスカー型不変原理や重複対数の法則などの極限定理が成立する.この時、degree2のU-統計量に対して核関数によるH-S作用素の固有値と固有関数を用いて定義されたヒルベルト空間Hに値を取る確率変数列の和に関する極限定理を応用した.この方法をU-統計量およびV-統計量における漸近展開理論に適用して、従来はっきり求めることが出来なかった漸近展開における定数項を具体的に表現することができた.対称統計量はノンパラメトリック統計において基本的は統計量であるため、この方面への応用が期待できる.上記の対称統計量の漸近理論の応用として確率微分方程式の近似解の漸近的な性質を調べることから、反射壁を持つブラウン運動の近似とそのコンピュータシミュレーションについて問題点を提起した.
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