研究概要 |
弱い数学的帰納法の超準モデルMにおける有界なoracleとP=NP問題との関係について調べた.有界なoracleは標準モデル(自然数)においては有限集合となりoracleとしてはまったく無意味なものであるが,超準モデルでは有界であっても一つの数でcodingが可能とは限らないために自明でないものになる.このような有界oracleの性質とそれに対応する標準モデルにおける結果についての研究をおこなった.特にP=NPの仮定のもとで,相対化i.e.P^A=NP^Aとなる有界oracle Aの分布について調べ,このようなAが十分たくさんあることが証明できれば,gereric拡大をおこなった時,WPHP(weak pigeon hole principle)が成立しないようにでき,一方S_2のモデルとなることも証明されるため矛盾が生じることになり,したがってP=NP問題が否定的に解決されることになる.このことからも有界なoracleの研究の重要性が明らかになった. 研究協力者である竹内外史氏(イリノイ大)との共同研究では,超準モデルのグラフにおけるクリーク問題とP=NP問題との関係を調べTuran数という組み合わせ論の概念と密接な関係があることがわかった.Turan数の下限に対するよい評価を得ることの重要性が明らかとなり,P=NP問題に対する新しい展望が開かれたといえる.Turan数の研究に関しては組み合わせ論において数多くの結果が知られており,これらの手法を計算量の理論に持ち込むことにより新しい結果が得られることがわかった.
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