研究概要 |
平成14年度においてはS_2のモデルMのendextensionと2階の限定算術の公理U_2^1およびV_2^1の構造との関連の研究を進め,一定の成果があがった.MがU_2^1(resp.V_2^1)モデルになればその2階の領域のうちboundedになるものだけを集めるとR_3^1(resp.S_3^1)のモデルでMのendextensionになることが知られている(RSUV-Theorem).これらの結果と平成13年度で得られた結果の超ベキ場合への適用とを組み合わせ,限定算術の公理の分離問題の部が,一定の仮定(P=NP)のもとに解決された.P=NP?はまだ未解決であるが,成立しないであろうと予想されている.従ってこの仮定を何らかの方法で取り除く必要がある.MをS_2のモデルとする.任意のΣ_1^b formulaψ(x, y)に対して,ある多項式時間計算可能関数f(x)とc∈Mが存在して,M〓∀x(∃yψ(x, y)→ψ(x, f(x, c))となる時,MはP=NPをみたすという.N=Nの時は従来のP=NPの定義と同じである.P=NPは成立しないと一般に予想されているが,P=NPをみたすnonstandard modelは存在する可能性が高い.このようなモデルの存在が証明できれば,S_2とU_2^1の分離が成立することがわかった.Mの部分集合αが<M, α>〓S_2(α)をみたす時,Mのoracleと呼ぶ.Mの有界なoracleαで,P^α=NP^αがMで成立するようなものが存在するならば,S_2とU_2^1の分離が成立することが示された.このようなαの存在を証明するためには,オラクルチューリング機械のオラクルの使用に関して一定の制限をもうけたものの計算量を調べる必要があることがわかった. 松原はLκλ上のprecipitous idealを研究し一定の成果をあげた.築地はP≠NPの仮定のもとで,many-one還元性をはじめとする各種の計算量の還元性について研究した.
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