研究概要 |
研究代表者の森らは1975年に二重指数関数型数値積分公式を発見し,この公式はその後科学技術のいろいろな分野で使われるようになってきている.本研究の目的は,有限区間の積分,とくに区間の端点に特異性をもつ積分,減衰の遅い関数の半無限区間における積分,減衰の遅い半無限区間のフーリエ型積分など代表的な型の積分に対して,それらを計算する二重指数関数型公式の基本的なサブルーチンと,自動積分サブルーチン(被積分関数を定義する関数サブプログラムと要求する許容誤差限界を与えるとその限界を満足する近似積分値を返すサブルーチン)を開発あるいは整備することであったが,最終年度の研究を終了するにあたり,その目的はほぼ達成することができた. 本年度の計画当初には,ユーザーインターフェースも開発する予定であったが,ユーザーはむしろ直接サブルーチンを呼ぶ形でこれらの公式を利用することがほとんどなので,インターフェースの開発は中止し,その代わりユーザーのために詳細な使用方法を文書にして,研究成果報告書に載せた.また,各々のサブルーチンのソースプログラムはFORTRANで書いてあるが,それらをすべて研究成果報告書に載せ,使用方法も付けてユーザーに使いやすい形で提供することにした.とくに,フーリエ型積分に対する自動積分のサブルーチンのソースプログラムはこの研究成果報告書で初めて公開されるものである.この研究によって,これまでいろいろなところに分散していたサブルーチンも一つのパッケージにまとめられ,その結果今後一般ユーザーによって二重指数関数型数値積分公式がより広く利用されることが期待される.
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