研究概要 |
この研究により得られた結果を大別すると以下の3つとなる。 1.『間隙三角級数の概不変原理』Lebesgue空間上の三角函数列などの部分列について確率論的極限定理を新たに示すことを試みた.対象に選んだのは[exp(k^b)]で与えられる列を周波数に持つ間隙三角函数列であり,この列に対してはErdosが1962年にb>1/2の範囲で中心極限定理が成り立つことを示し,さらにb>0の範囲でもこのことが成立すると予想した.Erdos以前の研究に対応させるとKacが1939年にb>1の範囲で証明し,Salem-Zygmundが1947年にb【greater than or equal】1の場合に証明したこととなっている.この予想に関しMuraiは1982年にb>4/9の範囲で肯定的に証明を与えた.また重複対数の法則はb【greater than or equal】1以上の場合にErdos-Galが1955年に,b【greater than or equal】1/2の場合にTakahashiが1975年に示している.これら二つの定理を含む上位定理である概不変原理に関してはb【greater than or equal】1の場合にPhilipp-Stoutが1975年に,b>1/2の場合にBerkesが1978年に示している.我々はMuraiが解決したb>4/9の場合に中心極限定理以外の極限定理が得られていなかったので,研究の結果、この場合について概不変原理が成り立つことを証明した. 2.『多項式エルゴード定理に関連する中心極限定理』Σf(θ^nx)g(θ_<n2>x)の形の和に代表されるいわゆるnon-conventional averageの中心極限定理について研究し、その極限分散を確定した。これはRiesz-Raikov和の中心極限定理の研究の手法により可能になったものである。 3.『Bakerの列に関連する中心極限定理』有限個の互いに素な自然数を指定し、これらのみを因数に持つ整数全体を増大順に並べたものがBakerの数列である。我々はこの列n_jに関してΣf(n_jx)の形の和が中心極限定理を成り立たせることを示した。 以上の結果は学術論文に発表されたことを付記しておく。
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