研究概要 |
13年度は,離散化された方程式系の構造安定性を支配するパラメータにより,その大きさが解の安定化にも不安定化にも重要な役割を果たすことを確認した.モデルとしては,流体系と交通渋滞現象をとりあげて,それらの物理パラメータとともに,離散化により生ずるパラメータの影響を明らかにした.流体系においては,ナヴィエーストークス方程式の直接シミュレーションについて人工粘性項の寄与が物理的な粘性と構造的に同様の効果をもたらし,離散的な数学モデルを構築する上でかなり重要な役割を果たすことを明らかにした.さらに高度な可視化動画システムも含めた新規解析手法の構築を行い,構造不安定性により生ずる多種多様な分岐パターンを分類し,その中から特徴的な現象の意味づけを行った.この結果から,ある種の積分量の最適化された状態が物理的に正しい状態ではないかということが結論づけられた.これらの結果は,いくつかの論文に発表した. 一方,交通流などで見られる渋滞相に転移することで全体の性質が変化することなど,流体系で表現される離散モデルが他の系の現象の把握に有効であることを明らかにした.
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