研究期間(平成12年度、平成13年度)における研究内容は確率場およびその解析に必要な計算理論であった。得られた主な結果は次のようであるが、いずれもinnovation(新生過程)に基づく方法であり、それが極めて有効であることがわかった。 1.ガウス型確率場について ガウス型の確率場で、曲線や曲面をパラメータとするときは、その変分からinnovationが求まる。それはホワイトノイズで、それによって元の確率場を積分表現することができる。これが標準表現となる。その表現の積分核の解析的性質により確率場の確率論的特性、例えば種々の従属性など、を明らかにすることができた。また、曲線や曲面の包含関係を過去と未来との関係にして、共形変換により可逆性、非可逆性を論ずることができた。 2.一般(非ガウス型)の場合 ホワイトノイズの斉次多項式で表される確率場については非線型演算によるinnovationの求め方を具体的に示すことができて、ガウス型以外に最良予測が求まる良い例となった。また、一般の加法過程の線形変換となる確率過程についてはinnovationが非線形的に得られ、その構造も明らかになりjump findingの計算可能性の問題に一つの回答を与えた。 3.応用として。 加法過程の従属操作を扱った応用例としてブラック・ホール候補からのX線データの解析を進めてきたが、その数学的モデルの作成には特性汎関数の方法が有効であることを発見した。宇宙科学者との共同でモデルの妥当な候補をみつけた。再度データとの比較も行っている。
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