研究概要 |
ルベーグ測度が0である実数の部分集合(measure zero set)全体のなすイデアルを${\cal N}$で、第1類の部分集合(meager set)全体のなすイデアルを${\cal M}$で表す。$2\leq K\leq\omeg$に対して、$K$-Predictorにより無限回(一定間隔で)predictされる部分集合から生成されるイデアルを、${\cal X}^\infty_K$(${\cal X}_K$)で表す。実数の構造を反映する指標のひとつにこれらのイデアルの基数不変量がある。${\cal N}$と${\cal M}$から定まる基数不変量については、既に多くの研究者によりよく調べられ、いわゆるチホンの図式として表されている。また、T.Bartoszynskiの結果から容易にわかることであるが、${\bf cov}({\cal X}^\infty_\omega)${\bf non}({\cal M})$は一致する。${\bf cov}({\cal X}_K)$に関して科研費申請時に残っていた疑問は次の2点であった。 (Q1)${\bf non}({\cal N})$と${\bf cov}({\cal X}_K)$の関係は? (Q2)$K<\omega$でも${\bf non}({\cal M})\leq{\bf cov}({\cal X}_K)$か? 残念ながら、(Q.1),(Q.2)のどちらも述べられる結果の前進を得ることはできなかった。 全く異なる対象であるが、${\cal P}_\kappa\lambda$上の正規ウルトラフィルターの性質を考えるとき、実数上の基数不変量を扱う場合の組み合わせ論的な議論と技法が有効である場合がある。(Q.1)と(Q.2)を解析していたときに得た技法を用いて、${\cal P}_\kappa\lambda$上のイデアルの分割性に関して次の3つの結果を得た。 (1)$\kappa$が$\lambds^{<\kappa}$-ineffableなら${\cal P}_\kappa\lambda$は分割の性質を持つ。 (2)$\kapp$が$\lambda$-supercompactなら${\cal P}_\kappa\lambda$上に分割の性質を持つ正規ウルトラフィルターがある。 (3)${\cal P}_\kappa\lambda$上に分割の性質を持たない正規ウルトラフィルター$U$があれば、$U$による超積において$\kappa$より大きいweakly compact基数がある。 これらの結果は、研究発表欄の2番目と3番目の論文で示される。
|