研究概要 |
農事試験では,2つの因子を配列型のブロックの行と列に割り付けて実験を行い,その主効果,交互作用効果などを推定することが多い.行列型のブロックの行,列にそれぞれ異なる因子を割り付け,これらの2つの因子の交互作用を推定あるいは検定する際に,split-block designが用いられる.本年度は,incomplete split block designの統計的最適性および有効性について,組合せ論的側面を含め研究を行った. 昨年度までの研究で,balanced incomplete split-block designが構成できれば,それはuniversally optimumであることを示している.今年度は,efficiencyに注目し,efficiency factorあるいはそのためのC行列の固有値が陽に計算できるためにデザインが満たすべき組合せ構造について調べ,affin α-resolvablilityをもつ場合には,その計画はgenerally balancedであり,常にC行列の固有値が陽に求まることを示した.また,square lattice design,有限アフィン幾何,resolvable BIBデザインのsemi Kronecker productなどを用いて,その具体的構成法を与えた. さらに,分散分析表を与え,各因子の情報が各層にどのように分散しているかを明らかにした.本研究成果は,実際にsplit-block designによる実験を行う際に非常に有効であると思われる. 一方,DNA Library screeningにもResolvable grid designと呼ばれる配列型のデザインが有効であることを示し,Resolvable grid designのさまざまな構成法を示し,さらに小さいパラメータのデザインについてはその存在の必要十分条件を明らかにした.
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