研究概要 |
本研究では,組合せデザインの従来の応用と新しい応用の両側面から研究を行った. 農事試験では,2つの因子を配列型のブロックの行と列に割り付けて実験を行い,その主効果,交互作用効果などを推定することが多い.行列型のブロックの行,列にそれぞれ異なる因子を割り付け,これらの2つの因子の交互作用を推定あるいは検定する際に,split-block designなどが用いられる.本研究では,incomplete split block designの統計的最適性および有効性について,組合せ論的側面を含め研究を行った.また,二方制約型デザインのDNA library screeningへの新しい応用についてもいくつかの有用な結果・知見を得た. これまでの研究で,balanced incomplete split-block designは交互作用効果の推定に関してuniversally optimumであることを示している.さらに,efficiencyに注目し,efficiency factorあるいはそのためのC行列の固有値が陽に計算できるためにデザインが満たすべき組合せ構造について調べ,affine α-resolvablilityをもつ場合には,その計画はgenerally balancedであり,常にC行列の固有値が陽に求まることを示した.また,square lattice design,有限アフィン幾何,resolvable BIBデザインのsemi Kronecker productなどを用いて,その具体的構成法を与えた. また,grid designと呼ばれる組合せ構造を導入し,そのDNA library screeningへの応用に関する研究も行った.grid designの組合せ論的構成法をアフィン幾何,有限体などを用いて構成する方法を見出し,3編の論文として掲載した.さらに,pooling designと呼ばれるグループテストの効率・有効性についても組合せ構造との関連を中心に研究を行い新しい知見を得た.さらに,pooling designによる試験結果が与えられた際に,positive cloneを発見する効率の良いアルゴリズムも開発した.これらは,現在論文としてまとめている.
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