研究概要 |
上記課題の研究課程のなかで以下のような研究結果が得られた。 (1)認識論理のモデルの一つとして「意識と信念」構造を導入して、このモデルにAumannの合意定理を拡張した。この結果は論文T.Matsuhisa et al:Awareness,belief and agreeing to disagree(2000)として印刷公表した。 (2)また、このモデルとの健全性を持つ形式論理ADを構築し、この論理が完全であることと有限モデル性を有することを示す研究プログラムの概要をLogic of Decision Theoryとして第9回国際コロキュウム「数値解析、計算機科学と応用」で発表した。 (3)コミニュケーション過程を認識モデルに導入し、次の2つの成果を得た。 第一は3人以上のプレイヤー間においてある事象が生起する事後確率の情報を交換をサイクルを持たないコミニュケーショングラフに沿っておこない、情報を受けたプレイヤーはその情報を下に自分の情報構造を修正し、その修正した情報構造で新たに事後確率を計算し直し、それを次のプレイヤーに伝えるプロセスを考える。このときこれら修正事後確率は収束し、全て同じ値をとることを認識モデルがLattice Structure of knowledgeモデルの場合に示した。この結果はMatsuhisa et al:Communication,consensus and lattice structure of knowledge(2000)として印刷公表した。第二に、戦略型ゲームにおけるプレイヤーの合理性と自分が形成する他人の行動に関する予想の2点を伝達するプロトコルに沿って情報交換を行う時、このコミニュケーショングラフがサイクルを持たないならば、この予想値の組みは収束し、かつこのプロファイルがゲームの混合ナッシュ均衡を形成することを認識モデルが様相論理S4モデル場合に示した。この結果の概要はThe First World Congress in the Game Theory Society,Bilbao2000において発表した。 (4)効用最大化プレイヤーの意志決定のシステムの形式論理とそのモデルからなる「効用最大化プレイヤーシステム」を構築した。形式論理は「信念の論理」を拡大したシステムを導入し、モデルのクラスはゲーム論的モデルを使う。このシステムのなかで「互いに対称な効用関数を持つ2人のプレイヤーが互いに支配戦略を取る事を信じているならば、この二人の選ぶ戦略は必ず一致する」という合意定理が証明可能になることをシステムが有限モデル性を持つ事から示した。この結果は京都大学数理解析研究所研究集会「経済の数理解析2000」においてHirase et al:Reasoning about donimant actionsとして研究発表した。
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