研究概要 |
定数係数線型偏微分方程式の緩増加な解の存在・不存在の条件をフーリエ超函数とその拡張を用いて究明し有る程度の成果を得た.これは発表済みである.続いてフーリエ超函数の無限遠における構造を究明中である.特に,無限遠だけに台を持つような超函数の構造を調べ上げ,偏微分方程式への応用を計ろうとしている.現在得られている結果は,無限遠に台を持つ自明でないフーリエ超函数が有限の一点だけに台を持つものの極限として得られるなら,この近似超函数は準解析的なウルトラ超函数の階数増大を示さねばならないこと.従って,無限遠だけに台を持つ超函数は有限集合台の場合と異なり,本質的に無限階であることが挙げられる.更に,森本・吉野による無限遠の一点に台を持つフーリエ超函数の具体例をあらゆる準解析的増大度で実現する仕方を得た.また,ラプラス作用素などを用いて,無限遠のみに台を持つフーリエ超函数を有限なところで定義された超函数の自然な拡張として捉える試みを遂行中である.特に,調和関数のフーリエ超函数としてのある意味でカノニカルな延長がエーレンプライスの基本原理を用いて得られる.今後はこれらをリュービル型の定理やレリヒ型の定理の劣指数的増大度への拡張に応用する研究を続ける. 有限体の上で定義されたD加群の定める種々の線型部分空間の具体的な計算を通して誤り訂正符号に応用可能な離散的分布のものを見出し,ゴッパ符号の拡張をはかる研究を遂行中であり二三の候補が見付かっている.また通常の代数幾何符号に対しても符号化や復号の効率的な計算にD加群の理論が応用できないかを検討中である. 離散トモグラフィについては,ウエイト函数を最大にする解の効率的な計算法を探索しいくつかの候補を実験中である.
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