研究概要 |
今年度は,研究課題に関連して以下の研究を行った 1.境界に接するベクトル場に対する拡張されたKorn不等式に関する以前からの研究を深めた.等方的弾性体のエネルギーに対して、いわゆる「エネルギーの強凸性」条件が崩れる境目(nλ+2μ=0,μ>0)でのKorn型不等式の成立条件を調べた.N>2のときは,Neumann境界条件が強補完条件を満たすので比較的扱いは単純だが,n=2のときには,領域の穴の数,凸な角点の個数が影響を与える. 2.平行2平面に挟まれる無限領域における弾性波動方程式に関して,スペクトルの状況を調べた。具体的には,方程式を境界に平行な方向にFourier変換し,更に波動方程式に対応する固有値問題を考えるとき,Fourier変数をパラメータとする固有値の様子を調べた.Neumann境界条件を課した場合,いわゆるRayleigh波に対応する固有値の枝が現われ,他の枝と交わることなく挙動することが興味深い. 3.これはMathematicaの利用に関する研究であるが,平面から切り抜いた長方形の帯を,互い違いに組んだ3本の同じ太さの細長い円柱に巻き付けて得られるMobiusの帯を,Mathematicaの中で実現した.数式的に扱うことにより,この作製法でMobiusの帯が実現されるための,円柱の太さ,長方形の縦横の長さの関係を明らかにすることができた.
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