研究課題
本研究の2年目は、D7型のパンルヴェ第3方程式の特殊解を調べた。このD7型のパンルヴェ方程式は、通常の第3方程式の中で退化したものであるが、今まで調べられることが少なかった。パンルヴェ方程式の代数解はほとんどが有理函数になるが、このD7型と第6方程式のみが有理的でない代数解を持つという特徴を持つ。結果として、D7型のパンルヴェ方程式の代数解に対しても、第2方程式でいうヤブロンスキ・ボロビエフ型の多項式を構成した。また、梅村の意味での超越古典解が存在しないことも示した。後の結果は、同時期に斎藤・寺島によって代数幾何的な手法でも得られている。D7型方程式に関するこれらの結果は、80年代後半に発表された岡本和夫の4本の一連の論文の補遺となるものである。モノドロミ保存変形やτ函数の双線型方程式などとあわせて、岡本のシリーズの5番目として発表する運びになった。D7型方程式に関するヤブロンスキ・ボロビエフ型の多項式が表現論的にどのような意味を持つかは興味深いが、超越古典解が存在しないこととあいまって、その意味付けは謎である。また、D7型方程式のような退化した方程式に対して、ツイスタ理論的な取り扱いも困難である。現在は、D7型方程式と同様に代数解を持つパンルヴェ第6方程式の特殊解に興味を移している。パンルヴェ方程式の特殊解にあたる場所では、対応する線型方程式のモノドロミの構造は非常に簡単になっていることが多く、一般にどうなるか興味のあるところである。
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