研究課題/領域番号 |
12640175
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉本 充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60196756)
|
研究分担者 |
長瀬 道弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70034733)
小磯 憲史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70116028)
西谷 達雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80127117)
内田 素夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10221805)
松村 昭孝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60115938)
|
キーワード | 振動積分 / 双曲型方程式 / 初期値問題 / 境界値問題 / 除去可能特異点 / Lp-解析 / 波動方程式 / ポテンシャル |
研究概要 |
本年度は、まず基本課題である振動積分の理論の整備をめざした。相関数が退化しない場合は、その漸近挙動は鞍部点法等から容易に解析される。しかし相関数が退化する場合の解析の手段は限られており、次元が低い時、さらには相関数が解析的であるなどの制約条件の下での結果が知られているに過ぎない。ここでは最近開発された、相関数の代数的構造を精密に捉えるPhong、Steinの方法や、幾何的構造を考慮する研究代表者の方法などを用いて、これらの制約の除去につとめた。これに関しては、次年度以降引き続き研究を継続していく予定である。特に次年度は、ロンドン大学インペリアル・カレッジのRuzhansky氏と積極的に交流し、代数的構造からのアプローチに重点をおくことを計画している。 また応用課題として、双曲型方程式系の定量的解析にも取り組み進展をみた。波動方程式における初期値問題の基本解のLp型評価式に関してはよく知られているが、ここではポテンシャル項を持つ場合、特にそれが時間に依存する場合について考察し、評価式においてポテンシャル項がもたらす影響について調べた。また、双曲型方程式系の境界値問題の解に対する評価式などについての成果も得られた。 さらに副産物として、偏微分方程式における解の特異点除去可能性の問題についても成果がみられた。これについては、従来ボホナーのアイデアによるポテンシャル論的方法が多く用いられてきた。ここでは、超局所解析的手法とLp-解析をあわせ用いた新しい方法を開発し、ボホナーの方法では示せない、より一般の非斉次方程式を取り扱うことに成功した。この成果は、調和写像などの幾何学的変分問題に由来する非線型方程式、あるいはリーマンの拡張定理のような古典解の場合などへの応用が期待されている。これについては、次年度以降の課題としたい。
|