研究課題/領域番号 |
12640182
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
諸澤 俊介 高知大学, 理学部, 助教授 (50220108)
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研究分担者 |
大坪 義夫 高知大学, 理学部, 教授 (20136360)
加藤 和久 高知大学, 理学部, 教授 (20036578)
新関 章三 高知大学, 理学部, 教授 (60036572)
藤解 和也 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30260558)
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
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キーワード | 複素力学系 / ファトウ集合 / ジュリア集合 / 超越整関数 / 値分布論 / 半双曲性 / 遊走領域 / 特異値 |
研究概要 |
諸澤は昨年滞在したドイツ、キール大学のベルグワイラー教授を招聘し、昨年度の共同研究の続きを行った。そして、半双曲的超越整関数について次の結果を得た。(1)反双曲的超越整関数は極限関数が有限となる遊走領域を持たない。(2)ある条件のもとで半双曲的超越整関数のジュリア集合は局所連結となる。(1)はある種の遊走領域非存在定理である。また、(2)は諸澤がすでに得た、劣有理関数のジュリア集合の局所連結性やある種の超越整関数のジュリア集合の局所連結性についての結果の拡張となっている。この成果は論文としてまとめ発表予定である。また、谷口と特異値が2個である整関数az exp(z)+bとa ∫^z_0 exp(-t^2)dt+bを考察し、そのパラメータ空間の双曲成分について研究を行った。 新関は測度と位相に関する諸性質と移動や拡散を有し、反応を伴う非線形偏微分方程式系の解の漸近的性質を調べた。そして、測度空問における集合列の極限を集合算の一つである対称差で考えることにより、測度の連続性を精密化することができた。 大坪は割引マルコフ決定過程における閾値確率の最小化問題に関する研究と最適停止問題におけるリスク最小化モデルに関する研究を行った。 谷口は無限次元のタイヒミュラー空間を持つリーマン面と超越整関数の力学系について研究を行った。無限次元のタイヒミュラー空間を持つリーマン面に対しては、写像類群のタイヒミュラー空間への作用を考え、その作用の離散性を与える条件を、元のリーマン面の双曲幾何学的条件で与えた。超越整関数の力学系については、構造有限な整関数を定義し、その具体的表現空間を与えた。 藤解はある代数型関数についてその関数が与える有理型関数体上の線型微分多項式の比を考え、その特性関数が再びこの関数体の元となるとき、その関数の対数導関数もまた同様なことが得られるか否かについて考察した。これはNevanlinna理論でもっとも重要な結果の一つである対数導関数に関する評価の逆の主張に対応した問題である。
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