複素ユークリッド空間を粗な部分加群で割った商空間はコンパクトの時は複素トーラスであり昔から多く研究されている。これがコンパクトでないとき、トロイダル群と呼ばれている。これについては、未だ完全には解決されていない。代表者の研究によって、そのタイプが粗な部分群の数論的性質で、二つのタイプに分類される事が明らかにされている。コホモロジー有限なタイプとコホモロジーは非ハウスドルフであるタイプに分類される。この一年の研究でコホモロジー有限なタイプは、複素トーラスの構造と酷似していることが解って来た。コホモロジー有限なタイプでさえ、解明出来ていないのが現状で、非ハウスドルフタイプの場合は、現在のところ全く解っていない。Yoccozの最終結果であるBryuno数によって線形化可能と不可能の判別がなされている。この結果と上記のコホモロジー有限なタイプとコホモロジーが非ハウスドルフであるタイプの分類の別れ目を比べると連分数展開による有理数近似で条件としては、Bryuno数よりも若干弱い条件となることは明らかに出来た。
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