本研究の目的は、量子群およびそれに密接な関係のあるq調和振動子に関連のあるq-変形作用素を系統的に解析することである。これまでの研究によって、「q-変形正規作用素は十分大きなスペクトラムをもち、さらに、q-変形正規な重み付き作用素のスペクトラムは必ず複素数全体と一致する」ことが示されている。本研究において、以下の事柄を解明した: 1.変形パラメータqが0と1の間にある場合、自明でない閉q-変形ハイポ正規作用素は必ず非有界になる。更に、そのスペクトラムは0を含み、特に点スペクトラムは0だけからなるか空集合である。さらに、そのスペクトラムの2次元ルベーグ測度は常に正になる。もしも、q-変形ハイポ正規閉作用素が稠密な定義域をもつとき、その逆作用素の実部と虚部は元の作用素のそれらにより表現される。 2.変形パラメータqが1より大きい場合、有界・非有界の両方の場合が起こる。このことに関連して非有界な重み付きシフト作用素を用いて、そのスペクトラムが空集合になるq-変形ハイポ正規作用素を構成した。 3.(非有界または有界)正規作用素について広く知られているFuglede-Putnam型の命題について、q-変形作用素の範疇で次のような命題を得た:「q-変形正規作用素Tに付随したcontractionの可換子の任意の元をBとする時、もしもB・(qT)がT・Bに拡大されるならば、B・(qT)はT・Bに拡大される」。 4.q-変形作用素のようにスペクトル解析の出来ない作用素に対して任意の閉非有界作用素Tから誘導される作用素行列を空間の直積上に作ることにより得られる自己共役表現について解析した。
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