研究概要 |
本年度の研究実績の第一は次のとおりである。重点的に研究したのはHardy-Littlewoodの最大値関数に関するものである。本年度はその最大値関数の有限回の合成作用素のOrlicz空間上での荷重ノルム不等式の評価を得る事ができた。更に,Orlicz空間を構成するYoung functionとweightとの関係を明確にする事ができた。この研究成果については,ドイツの専門雑誌Math.Nach.に掲載予定である。論文のタイトルは「Weighted inequalities for iterated maximal functions in Orlicz spaces」である。また,荷重逆不等式を確立することができた。結果は論文としてまとめ,ハンガリーの学術雑誌Acta Math.Hungaricaにおいて発表した。 第2の研究成果はweightの族の包含関係に関するものである。Hardy-Littlewoodの最大値関数の荷重不等式に関係するweightの族を拡張した.Kerman and Torchinskyはweighted Orlicz spacesの場合にMuckenhouptの結果を拡張した。彼らはweight functionの族としてA_Φを定義した。BagbyはHardy-Littlewoodの最大値関数がweak typeの不等式を満足すweightの族B_Φを導入した。我々は、A_Φを拡張して,A^e_Φの族を定義し,ふたつのweightの族A^e_ΦとB_Φの関係を論議し,いくつかの新しい結果を得ることができた。この結果については現在論文としてまとめる準備を行っている。 分担者の安井は可微分(または解析的)多様体の間の可微分(または解析的)埋め込みの問題を扱った。存在するための条件(障害),存在する場合,埋め込み全体のなす写像空間の可微分(または解析的)同相分類,可微分同境分類で成果をあげた。分担者の森は,正規順序統計量の積の期待値について有効精度10桁で数表化した。分担者の家本は順序数空間の積空間の正規性を中心とする位相的性質を調べた。そのような性質の中で正規性より弱いsubnormalという性質は,二つの積空間には保存されるが三つの積空間には保存されないことを見つけた。
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