コンパクト・ハウスドルフ空間K上の連続関数空間で定義された非有界微分は、(ある種の微分構造とみなされる)構造をK上に引き起こすと考えられ、その定義空間は、この微分構造に関する可微分関数空間と考えられる。本研究では、これをR上の古典的可微分関数空間の一般化・拡張として捉え、その上の作用素の構造と非有界微分の構造との関連について研究を行った。非有界微分に関連する問題は難しいが、関連する文献を詳細に調べるとともに、全国の関連する研究者と情報交換を密接に行いながら研究を進め、いくつかの新しい結果が得られた。 我々は、以前に非有界微分の定義域のシグマノルムをはじめとする種々のグラフノルムに関する等距離同型作用素の構造を研究したが、本研究では、2階微分の定義空間について、この問題を研究して、シグマノルムの場合に、Kが第一可算公理を満たすとき、そのような同型作用素が、K上の(可微分構造に関する微分同相写像とみなされる)同相写像による荷重合成作用素となることを示すことができた。第一可算公理の仮定は不要であると予想されるが、現在のところまだ未解決である。また、他のグラフノルムについても未解決である。 次に、等距離でない同型作用素によって、下の位相空間がどこまで決定されるかについて研究した。KがRのコンパクト集合の場合、Gelfand-Mazur距離が充分小さいとき、それらのコンパクト集合が同相になるというJunとLeeの結果を非有界微分の場合に拡張することができた。しかしながら、これにはかなり強い条件を付けているので、これをいかにして緩めるかが今後の課題である。また、本研究の過程で、古典的なCI-空間上の縮小作用素に関するコロフキン定理についての以前の我々の結果を改良することが出来た。 以上の結果は、いずれも論文として発表または発表予定である。
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