研究概要 |
今年度は以下の研究を行った. 1正岡弘照は瀬川重男と共同で開リーマン面R及びRの有限葉非有界被覆面R^〜上の有界調和関数の族が射影π:R^〜→Rにより,同一視されるための必要十分条件がRのマルチン境界上の調和測度に関して,ほとんどすべてのRのミニマルなマルチン境界点pに対して,pの上にあるR^〜のミニマルなマルチン境界点の個数が1個であることを示した. また,正岡弘照は,開リーマン面R及びRの有限葉非有界被覆面R^〜上のDirichlet積分有限な調和関数の族が射影π:R^〜→Rにより,同一視されるための必要十分条件がRの倉持境界上の倉持容量に関して,ほとんどすべてのRのミニマルな倉持境界点pに対して,pの上にあるR^〜のミニマルな倉持境界点の個数が1個であることを示した. 2石田久は任意の3重連結以上の有限連結Denjoy領域Gと同じ連結度のDenjoy真部分領域G'に対して,境界成分を保存するような等角写像fによってG'をGに埋め込みなおすとき,G-f(G')が内点を持つようにはできないことを示した. 3辻幹雄は非線形双曲型方程式に対する初期値間題について研究した.この問題に対し,方程式を"cotangent space"にもち上げ,解の特異点を解消することによって得られた解を基空間に射影する手法を用いた. 4瀬川重男はその射影が無限遠点のみに集積する様な同一の分岐点を共有し,分岐点を固定する同相写像で同相な複素球面の2つの単連結無限葉被覆面で,一方は放物型,他方は双曲型となるものがあることを示した. 5西尾昌治は調和空間のマルチンコンパクト化とレーブコンパクト化をとりあげ,その調和境界がある条件のもとで互いに等しいことを示した.
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