研究概要 |
2次元正規特異点の単純楕円型特異点とカスプ特異点を統合した概念として純楕円型特異点がある.かかる純楕円型特異点は正規孤立特異点(X, x)に対する多重種数{δm(X, x)} m∈N の値が総ての自然数mについて1である特異点として定義される. 一方,Knollerによって導入された多重種数{γm(X, x)} m∈N がある.我々の多重種数では総ての値が1であるような純楕円型特異点をKnollerの多重種数によって、さらに精細に識別することができる。 考察当たり、まず、我々はその対象を超曲面上の3次元純楕円型特異点に制限した.その理由は超曲面の場合には扱う対象をより具体的に構成することが可能であり,従って一般論を展開する前のテストケースとして十分な素材を与えると期待されたからである.そこで始めに超曲面の孤立特異点に対してその多重種数{γm(X, x)}m∈Nを計算する手法を開発し、その結果を特異点が純楕円型である場合に応用するということを行なった.これにより,非退化な超曲面純楕円型特異点全体の構造をKnollerの多重種数の立場から概観することができるようになった. 次に、我々は{γm(X, x)}m∈Nが一定という条件のもとでの超曲面純楕円型特異点の変形族を考察し,その"モジュライ"を決定するべく、当面の目標である幾つかの3次元の場合の例に対して,このような変形族を完全に記述することができた。
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