研究概要 |
位相力学系の中で記号力学系はマルコフシフトをはじめ基本的な例を豊富に含む。本研究においては,記号力学系の研究をC^*-環的手法,特にC^*-環の代数的手法,K-理論的手法を用いて研究することである。マルコフシフトの場合は,J.Cuntz-W.Kriegerの共同論文により,マルコフシフトに付随してできるC^*-環が構成され,そのC^*-環のK-理論,Ext-群がマルコフシフトの位相共役類の研究に大変有効であることが,示されていた(1980)。本研究においては,マルコフとは限らない一般のサブシフトからC^*-環を構成し,そのC^*-環の代数的構造,特にK-理論の中のExt-群を用いて,サブシフトの力学的性質を研究した。C^*-環の代数構造がその力学系の位相共役不変量であることが,論文「Stabilized C^*-algebras constructed from Symbolic dynamical Systems」(Ergodic Theory and Dynamical Systems 2000)として発表され,Ext-群から定義されるサブシフトのBowen-Franks群についての研究成果も2つの雑誌K-TheoryとErgodic Theory and Dynamical Systemsに載る予定である。
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