n-調和写像の,多様体の共形幾何構造への応用

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12640212
• 研究機関: 山口大学
• 研究代表者: 中内 伸光 山口大学, 理学部, 助教授 (50180237)
• 研究分担者: 高桑 昇一郎 東京都立大学, 理学部, 助教授 (10183435) ; 竹内 博 四国大学, 経営情報学部, 教授 (20197271) ; 河合 茂生 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (30186043) ; 内藤 博夫 山口大学, 理学部, 教授 (10127772) ; 加藤 信 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10243354)
• キーワード: n-調和写像 / p-調和写像 / 調和写像 / 大域解析学 / 変分問題 / 楕円型方程式

研究概要

共形幾何構造の研究に応用を念頭に,p-調和写像(特に,n-調和写像)とその周辺領域についての研究を行った.代表者中内は,分担者河合と共同で,コンパクトリーマン多様体上の第1固有値について,下からのいくつかの評価を導いた.特に,Ricci曲率が下から正の数で押さえられている場合のLichnerowicz型の評価式と,非負のRicci曲率をもつ場合のLi-Yau型の評価式が得られた.これらの評価式の証明には,それぞれ違うタイプのBochner-Weitzonbeck型の公式が用いられている.ちなみに,Lichnerowicz型の評価式は,p-調和関数より,もう少し一般的な解のクラスに対して証明されている.分担者河合は,p-調和写像に対する「加藤の不等式」について調べていたが,さらに詳しい研究を行い,p-調和写像特有のいくつかの評価式を導いた.分担者高桑は,非線形楕円型方程式の解の特異点の付近での漸近挙動を調べ,解の1階微分についての評価を得ている.また,Euclid空間の有界領域上の非線形楕円型方程式系の解の一意性をPohozaevの恒等式を用いて証明した.このような様々な側面からの研究のサポートを受け,代表者中内は,n-調和写像についての研究を進め,conformal Killing vetor fieldsとの関連性が調べられている.

研究成果

• [文献書誌] Nobumitsu Nakauchi: "Regularity of minimizing p-harmonic maps int the sphere"Nonlinear Analysis. 47. 1051-1057 (2001)
• [文献書誌] Shigeo Kawai: "Some geometric properties of p-harmonic maps"Proc. of the First Intern. Symp. on Diff. Geometry. 63-70 (2001)
• [文献書誌] Makoto Masumoto: "Extremal lengths of homology classes on compact Riemann surfaces"Nonlinear Analysis. 47. 5491-5500 (2001)
• [文献書誌] Katsuhiro Komiya: "Equivariant K-theory Euler Classes and maps of representation spheres"Osaka J. Math.. 38. 321-328 (2001)