研究概要 |
Connes-Kriegerによる画期的なIII_0型単射的因子環の分類「環の同型とflowの同型の1-対-1対応関係」は、その後、Connes-Woodsにより、クラスをITPFI因子環に制限すれば、flowが漸近推移性を有することに結実した。しかし一般には因子環のflowの計算は容易なものではなく、非ITPFI因子環のflow以外の特性はこれまで未知で、研究者達の間でミステリアスな部分として語られてきた。本研究の主目的はこの部分の解明にあり、最終年度に得られた結果は次の通りである。1.Markov odometer actions not of product type, Ergodic theory and Dynamical Systems.2.Nonsingular dynamical systems, Bratteli diagrams and Markov odometers, Israel Journal of Mathematics.にいずれも掲載決定。内容:ITPFI因子環をエルゴード変換で具体的にどう記述できるかは既に知られ、それは無限直積測度のもとでのオドメター変換である。課題は、非ITPFI因子環をエルゴード変換でどのように捉えるかであり、結論は、「どんな単射的因子環のflowもマルコフ測度型オドメター変換で捉えられる」「どんな無限直積測度型オドメター変換とも、軌道同型の意味で本質的に異なるマルコフ測度型オドメター変換が存在する」である。方法論として記号力学系と深く関連するBratteli図形を用いており、このため記号力学系の研究をする必要が出て来て記号力学系の埋め込みに関するこの分野の新しい成果も次の論文で得られた。3.Embedding of shifts of finite type into the Dyck shift.(With K.Inoue)4.Subsystems of finite type and semigroup invariant of subshifts.(With K.Inoue and W.Krieger)
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