研究分担者 |
水町 徹 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (60315827)
白石 高章 横浜市立大学, 理学部, 教授 (50143160)
藤井 一幸 横浜市立大学, 理学部, 教授 (00128084)
竹村 剛一 横浜市立大学, 理学部, 助手 (10326069)
柳田 英二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80174548)
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研究概要 |
本年度は,これまで個々のモデルごとに知られていたさまざまな結果をもとに,色々なパルス状局在解のダイナミクスを分類し,その背後にある普遍的構造を特に空間一次元の場合に調べた.その結果,モデル方程式に,ある分岐パラメータを導入することによって現れる特異点の性質が特徴的なパルスの運動,例えばGray-Scottモデルにおける自己複製挙動や燃焼方程式に現れるパルスの粒子的反射運動等を引き起こすことを示すことができた.具体的には,特異点近傍において各パルスの周りで中心多様体を構成し,それを用いて一つのパルスがどのような内在的要因で変形が始まるかを調べた.次にそのようなパルスが複数ある場合,パルス間の相互作用が個々のパルスに関する中心多様体にどのような影響を及ぼすかを,パルス間の弱い相互作用の方法を用いて詳細に解析した.その結果,例えば特異点における線形化作用素の0固有値が半単純で,対応する固有関数が偶関数の場合は自己分裂挙動を引き起こすことを,ジョルダンタイプの特異性を持ち,対応する一般化固有関数が点対称性(奇関数)を持つ場合は粒子的反射運動が出現することを示した.特に粒子的反射運動に関しては,空間次元が2次元の場合も同様に解析することができた.それによって,近づきつつある2つのパルスがどのような経路を辿りお互いに反射していくのかを知ることができた.この運動は水面上の固体樟脳の運動を記述していると考えられており,実際の実験と併せて研究が進行中である. 特異点とパルス相互作用による記述を用いて複雑なパルスの挙動を解析しようという考えは本研究から始まったといってよい.このアイデアはより複雑な運動の解析にも適用できると期待されており,実際,複雑な挙動も幾つかの特異点が重合した場所を考察し個々の特徴的な運動パターンに分解することによって分析的に調べようという試みが始まっている.これは来年度以降の重要なテーマとして扱われる予定である.
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