研究概要 |
平成12-14年度に科学研究費補助金・基盤研究Cを研究代表者として受け入れた期間において得た最も著しい成果は,運動量について4次以下の多項式第一積分を持つ2次元の同次多項式ポテンシャル系の完全なリストを得たことである.運動量$p_1,p_2$について2次以下の第一積分を持つ条件は19世紀末にダルブーによって得られ,4次の第一積分を持つ特別な3つの場合も1980年代に発見された.この結果は本質的にそれ以外に可積分なポテンシャルが無いことを厳密に証明したものである. 同次多項式ポテンシヤルの次数が3次と4次の場合には,運動量について「真に」4次の多項式第一積分を持つ例がある.ところが,同次多項式ポテンシャルの次数が5次以上になると,運動量について「真に」4次の多項式第一積分は存在しないことが示される.この非存在証明には,多項式の共通根存在条件を与える終結式が本質的な役割を果たす.つまり 定理:2次元同次多項式ポテンシャル系が,運動量について「真に」3次,あるいは4次の多項式第一積分を持つのは,既知の3つ,および新しく見つかった1つの場合に限る.
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