1.目的 中小質量星はその進化の途上で質量放出をし、惑星状星雲を形成する。本課題の目的は、ハッブル宇宙望遠鏡等で明らかにされた、これら惑星状星雲の複雑なみかけの形状や立体構造と成因を明らかにすることである。現実の惑星状星雲の形状は多岐にわたり、統一的に説明する理論はまだ完成していない。そのため、星雲ガス殻の気体力学的過程の解析を観測面から行う。手がかりとなる最も本質的データは、輝線を放射する電離ガスの内部運動速度場である。恒星周囲に電離ガスを形成するもう一つの典型的例が共生星であり、惑星状星雲との類似性を観測面から追求する。 2.予備的結果・平成12年度の研究実績 (1)本課題の根幹となるイメージ・ローティターを設計し、これに基づいて国立天文台・岡山天体物理観測所のエッシェル分光器前置光学装置として完成した。 (2)位置角を制御できるカセグレン分光器を用いて行った、高銀緯ヘリウム欠乏惑星状星雲H4-1について、内部運動速度場の解析が終了した。視直径10″程度の円盤形状を示しているものの、内部運動の解析からは位置角150°方向に双極流が存在すると結論づけられる。 (3)種々の惑星状星雲の膨張速度2V_<exp>に関する統計的研究は、次年度以降に展開する。 (4)共生星HBV475の高分散輝線解析をし、連星系としてこれまでの質量函数を改訂すべきことを提案した。これによって、電離ガス域の構造解析に関し新たな進展段階へと導いた。
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