今年度は当初の予定通りブライトリム雲(BRC)の新たなカタログの作成として、IRAS源にバイアスのかからない65個のBRCを追加し、電波、可視光グリズム観測を行った。 まず、野辺山宇宙電波観測所45m鏡によるBRCのミリ波観測は2000年12月にマッピング能力の高いBEARSを用いてCSJ=2-1での観測を行った。総計で35個のBRCのうち32個でCSが検出され、分子雲の分布が明らかになった。BRCとしての平均サイズは0.4pc程度であったが、IRAS源の付随しないBRCはCS検出率がやや低く(100%に対して85%)、線幅はやや狭い傾向(1.3±0.6km/sに対して1.0±0.4km/s)が見られた。特異なBRCとして、リムで10km/sもの急激な速度変化が見られる例も見いだされた。また約半数のBRCについてはC^<34>SJ=2-1観測も行ったが、検出されたのは1天体のみであった。これらの情報を元に、以前行った観測と総合してBRCにおける星形成について検討を進めてゆきたい。 一方、アルメニアのビュラカン天文台2.5m鏡においてグリズム分光観測も行った。残念ながら今シーズンはオートガイダー装置の不調により十分な観測時間がとれず、依頼観測にせざるを得なかった。しかし、7つのBRCについて観測が行われ、総計で25個の前主系列星の候補としてのHα輝線星を検出することができた。まだサンプルが十分ではないため、来シーズンも観測を続けて行く必要がある。 今年は科研費の大部分はPCUNIXを用いた解析環境の構築に費やした。
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