研究概要 |
まず、南天の巨大HII領域であるカリーナ領域、およびいくつかの南天のブライトリム雲(BRCs)について、主に南アフリカの望遠鏡による広帯域での近赤外撮像観測を実施した。カリーナ領域には、MSX衛星による中間赤外域での観測から、電離領域の背後にあるダストグロビュールの先端付近にコンパクトな中間赤外源が6つ検出されている。今まで活発な星形成が行われていないと考えられていたこの6領域の近赤外線撮像から、多くの若い星の候補星が存在することがわかった。詳しい解析は現在続行中である。また他のBRCsについても、BRCsに付随する若い星の候補星の検出に成功した。 またハワイ大学の2.2m望遠鏡による近赤外撮像観測も行った。こちらの観測の目的は、その極めて良いシーイングを生かした、H_2と[FeII]による狭帯域撮像を行い、若い低質量星の進化段階に着目して、質量放出現象を調べることにあった。2つのBRC(BRC14,BRC38)だけでなく、比較のために、いくつかの暗黒星雲中のClassI天体についても深い撮像を行った。こちらの解析もまだ完了はしていないが、予期しなかった多くのジェットに伴うH_2knotsの存在が明らかとなった。その一部は1月の研究会にて発表された。 以上のように、昨年のデータからグリズム観測の有効性について検討を加えた結果、今年度は基本的に近赤外観測によって、BRCsに付随する前主系列天体の検出や星形成活動の影響等調べることを中心に進めた。なお、昨年度行った野辺山宇宙電波観測所45m鏡によるBRCsのミリ波分子線観測の結果は秋の日本天文学会において発表された。光学的に厚いCS分子による観測が中心であったので、さらに密度の高い領域を特定することについては問題がある。この問題を克服すべく、来年度はH_13CO^+輝線での継続観測がスケジュールされている。
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